みなさん、トリウムのことを知っていますか!?

トリウム それは21世紀の エネルギ−救世主!

6. 核燃料ウラニウム233への転換


 232Thを含む酸化物や炭化物を原子炉で中性子照射すると、233Pa(プロトアクチニウム) を経て、下記のようにβ崩壊を二度行って核分裂性の233Uが得られるのです。

  23290Th + n → 23390Th + γ 〔nを中性子といい、質量数1です。〕

*中性子を取り込むと、元素(原子番号)は変わらず質量数が1増えます。γ線という電磁波を吐き出して、帳尻合わせをするのです。

23290Th → 23391Pa → 23392U 〔β崩壊:陰電子(普通の電子のこと)を放出することです。〕

*中性子から陰電子を放出すると、原子核内の中性子がプラスの電荷を持つ陽子に変り、原子番号が1増えます。陽子の数が原子番号なのです。

 このようにして、核分裂を起こす燃料物質が得られることになり、豊富に存在する232Thの233Uへの転換は、原子力発電に必要な核分裂生成物質の供給量を増加させることになるので、将来(21世紀)のエネルギ−供給問題の緩和に役立つことが期待されているのです。

 しかし、エネルギ−の大きい中性子を核燃料に照射する高速中性子増殖炉(高速増殖炉ともいいます)や燃料核1個が消費されて産まれる核が1個以下という中性子の効率がよい転換炉など、核分裂性元素を増殖したり、転換することを目的とした原子炉では、増殖だけでなく同時に核分裂を伴います。このために、原子炉の使用済み燃料から核燃料物質などの有用物質を回収する過程(核燃料再処理過程)が必要になり、高放射性の核分裂生成物と233Uの分離作業をしなければならないのです。このことは、トリウムを固体核燃料として利用するときに、235Uを使う場合に比べてより困難な問題として立ちはだかっているのです。つまり、233Uには必ずごく少量の232Uが副産・随伴しますが、この232Uは半減期が72年でα崩壊(α線を発生=ヘリウム原子核の放出)を次々に続け、最終近くにタリウム(Tl)208を産み出します。これが持つγ線が異常に強く通常のγ線の10〜20倍と、安全確保の遮蔽が、化学処理費や再加工費、輸送費などに加算され採算性が劣ります。このようなことで“固体核燃料”としてはトリウムが、原子力発電用燃料に適しないのです。

 しかし、今までの原子力発電方式は、加圧水型或いは沸騰水型と言われる実用炉や、開発途上の高速増殖炉、転換炉など、約4%に濃縮された235Uを使用する全て固体燃料であるがために、厄介な問題を、特徴として持ち合わせているのです。


PAGE 1 2 3 4 5 6 7














































inserted by FC2 system